日田彦山線は北部九州の「あったか」で「スロー」なローカル線です。

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車窓ガイド

城野駅を発車した列車は、日豊本線の上り線として平面交差に右に別れながら走っていきます。そして、石田駅を過ぎると、志井駅にかけて北九州市のベッドタウンが開発されているのが目に入り、右手には北九州高速鉄道モノレールの車庫が見えてきます。

日田彦山線と日豊本線の分岐点(城野駅)
日田彦山線と日豊本線の分岐点(城野駅)

次の石原町駅は九州最大の石灰石の発送駅で、石原町~黒崎駅間には毎日、石灰石の専用列車が運転されています。この石原町駅から16%の上り勾配が始まり、かってはスイッチバック駅であった呼野駅を過ぎ、金辺トンネルのサミットを抜けると11%の下り勾配で筑豊へと入っていきます。

「石原町駅」の風景
「石原町駅」の風景
「石原町駅」の構内
「石原町駅」の構内

採銅所駅を過ぎると右窓には香春岳が見えます。この香春岳は五木寛之の著作である「青春の門」の舞台となった山で、一の岳・ニの岳・三の岳と呼ばれる3つの頂はカルスト地形の峰で、石灰石採掘のため山容が年々変化しています。

大正6年(1917)頃の香春岳の風景
大正6年(1917)頃の香春岳の風景

続く香春駅の駅舎は寄棟式の屋根が特徴的で、昭和60年の廃線された添田線の分岐点でもありました。

田川伊田駅では日田彦山線と平成筑豊鉄道とが合流する駅です。(平成筑豊鉄道ではJR九州時代と同じく、田川線、伊田線の名前で行橋市~直方市間をレールバスが運転されています。)この田川伊田線を区切りに、それまで西へと向っていた線路が南に転じると田川後藤寺駅に到着します。

田川後藤寺駅からは池尻駅、豊前川崎駅とかっての炭坑地帯を駈け抜けていきます。そして添田駅を抜ける頃には、彦山川に沿って勾配は25%の上りとなり、電車は英彦山の登山口である英彦山駅へと辿り着きます。ここから勾配を上りつめ、行く手を阻む釈迦岳を長大な釈迦岳トンネル(4380m)で抜けていきます。

彦山駅
彦山駅
釈迦岳トンネル
釈迦岳トンネル

そして電車は徐々に下りはじめた勾配を筑前岩屋駅、大行司駅、宝珠山駅と過ぎ、福岡県から大分県へと入っていきます。その後、大鶴駅、今山駅と農村地帯を走り、終着の夜明駅へと着きます。ここから久大本線に乗り換えれば光岡駅を抜けて、日田駅へと辿り着くことが出来るのです。

参考資料:JR全線全駅(1995年11月15日発行)
  • 発行所:弘済出版社(東京都豊島区北大塚1丁目16番6号)
  • 発行人:池田浩規
  • 編集者:遠藤法利
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