日田彦山線は北部九州の「あったか」で「スロー」なローカル線です。

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コンテスト結果発表

第1回(募集期間:令和2年10月15日~12月28日)
ひたひこ・いいとこどりフォトコンテスト受賞作品発表

「ひたひこ・いいとこどり フォトコンテスト」に、たくさんのご応募をいただきありがとうございました。

令和2年10月15日(木)から12月28日(月)まで募集したところ、おかげさまで、総数129点のご応募がありました。どの写真も日田彦山線沿いの魅力が詰まった素敵な写真ばかりで、スタッフ一同感謝の気持ちでいっぱいです。

受賞12作品のうち、グランプリ・特選(2作品)・フォトジェニック賞についてはプロ鉄道写真家 中井精也氏に選考いただきました。また、ひたひこ賞(8作品)については、日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会が選考しています。

応募作品(受賞作品を含む)は、「ゆっくりのんびり日田彦山線」のホームページ・インスタグラムでも掲載します。ぜひご覧ください。

これからも日田彦山線の魅力を皆さんと一緒にPRして参りますので、末永くよろしくお願いいたします。

総評

中井精也
プロ鉄道写真家 中井 精也(なかい せいや)さん

「ひたひこ・いいとこどりフォトコンテスト」の審査に参加させていただくことになりました鉄道写真家の中井精也です。写真家として、そしていち鉄道ファンとして国鉄時代からたびたび撮影に訪れていた日田彦山線沿線のフォトコンテストの審査をさせていただけたこと、とても光栄に、嬉しく感じています。フォトジェニックな鉄道風景写真から、見ているだけで笑顔になるような家族写真まで、バラエティーに富んだ、まさに沿線の「いいとこどり」をした作品を、楽しく拝見させていただきました。みなさんの応募作品を見てあらためてわかったのは、日田彦山線にこれほど豊かな自然があり、これほど多くの人に愛された路線だったんだということ。僕のなかでの日田彦山線は、桜が咲く春こそが旬!というイメージがあったのですが、コスモス輝く秋の風景から、白銀の冬の景色まで、このちいさな路線の沿線にこんなにもドラマチックな季節感があったことを、あらためて実感しました。2017年の九州北部豪雨で大きな被害を受けた日田彦山線の添田〜夜明の区間は、約60年の歴史に幕を下ろし、BRT路線として再スタートする予定です。鉄道からバスに変わっても、この路線が住民の人たちの足として活躍し、愛され続けることを、願ってやみません。たくさんのご応募、ありがとうございました。


受賞作品

グランプリ
「願い」
安東 道徳さん
選考者:中井 精也
宝珠山橋りょうとともに、日田彦山線を代表する風景であった栗木野橋りょう。歴史を感じさせる巨大なアーチ橋と星空を写した作品というだけでも価値はありますが、さらに流れ星が写り込んでいることに驚きました。撮影中に偶然流れたということですが、写真としても最高の位置に写ってくれるなんて、まさに空前絶後の瞬間と言えるでしょう。流れ星が写ったことで決めたタイトルは「願い」。単なる写真の説明ではなく、撮り手の想いが込められたタイトルも秀逸だと感じました。残念ながらここにふたたび列車が走ることはなくなってしまいましたが、この幻想的な風景は写真となって、ずっと見た人のこころの中に、残り続けることでしょう。(中井 精也)
特選
「春の路」
宮崎 俊吾さん
選考者:中井 精也
日田彦山線と菜の花を撮影した応募作品はたくさんありましたが、なかでもいちばん輝いていたのが宮崎さんのこの作品でした。こんな場所で深呼吸したいなぁ。スッキリと晴れた澄んだ青空のもと、目に眩しい鮮やかな菜の花畑が広がり、その間を走る列車のある風景は、見ているだけでウキウキするような春ならではの心地よさを感じてしまいます。じっと見ていると動いてる?と錯覚するような雲の表情も最高です。あえて言うなら画面左下の菜の花が少し寂しいので、そこをカットして画面を上に振って青空をドーンと入れた構図にすれば、さらによくなると思います。鉄道を「路」としたタイトルも、作品のよさを引き立てていて、素晴らしいと思います。(中井 精也)
特選
「曼珠沙華の咲く谷を走る」
ポン太さん
選考者:中井 精也
沿線に桜や菜の花、ツツジが咲くことは知っていましたが、こんなにも鮮やかな彼岸花が咲き誇る季節があるなんて、知りませんでした。彼岸花は面ではなくあぜ道に沿って線状に咲くので、なかなかバランスよく構図に入れるのが難しいのですが、カメラ位置を低くして手前に横方向の彼岸花を大きく入れた構図にすることで、奥行き感のある構図にしたのはお見事だと思います。列車が真ん中のラインにあるので、画面左側と上部の空を少しカットすることで、列車の位置を画面上方向に移動させると、さらにバランスがよくなるかもしれません。花だけでなく、筑豊を感じさせる背景の山を入れて、日田彦山線らしさを演出しているのも素晴らしいです。(中井 精也)
フォトジェニック賞
「レンゲ畑の輝き。」
最近のKOさん
選考者:中井 精也
日田彦山線の名物であるメガネ橋と、レンゲ畑のゆる〜い風景を、バランスのよい構図でまとめた作品。こんないい位置にレンゲ畑があったなんて、撮りに行きたかった〜!と思わず地団駄を踏んでしまいました(笑)メガネ橋、レンゲ畑、そして日田彦山線の列車という写真に必要な要素をしっかりと入れつつ、電柱や家屋などの不要な要素を排除し、キレイにまとめている構図力の高さに、フォトジェニック賞を贈ります。日本の風景にはとにかく電柱や家屋、ガードレールなどの邪魔モノが多いので、ここまですっきりと風景を撮るのは、とても難しいのです。寝転んでおひさまの匂いを感じるような、ミツバチたちの羽音が聞こえるような、臨場感のある作品だと思います。(中井 精也)

ひたひこ賞

  • 「雪化粧」
  • 金子 洋平さん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • 日田彦山線とメガネ橋の風景を捉えた作品はたくさん見てきましたが、ここまで雪化粧した風景ははじめて見ました。水墨画のような美しさはもちろん、写真から寒さが伝わってくるような臨場感のある作品だと感じました。少しワイドなトリミングをしていますが、完成度が高いだけに、左下の小屋や右下の杭が少し気になります。画面の隅々まで目をやり、「入れたくないもの」を見つけて排除できるようになるとさらによいでしょう。(中井 精也)
  • 「菜の花の築堤を行く」
  • 織田 寧人さん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • 見ているだけで深呼吸したくなるような、気持ちのいい春の風景ですね。日田彦山線としては珍しい4両編成の列車が、誇らしげに見えます。こういう場合は、菜の花をたくさん入れたくなりますが、画面右下に菜の花が薄い部分があるので、画面を上に振って青空を入れた構図にするのも手かもしれません。画面下1/3くらいの位置に列車がある構図にしても、菜の花畑の広さは伝わると思います。ここは今後も撮れるので、行ってみたいな。(中井 精也)
  • 「県をまたいだ移動」
  • あさひかりさん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • 県境をまたいで、「県をまたいだ移動」を演出しているのが面白い!写真としてのよさはもちろん、このコロナ禍だからこそ、さらに意味がある作品ですね。この笑顔は写真を撮られた家族に対する笑顔ですが、写真を見ているすべての人の心を楽しくさせてくれます。楽しさが、写真を通してたくさんの人に伝わっているんだなぁ。写真は撮るものではなく、伝えるためのもの。あらためて実感させてくれた一枚になりました。(中井 精也)
  • 「桜と菜の花の採銅所駅」
  • 酒井 晃さん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • まさに春爛漫の採銅所駅。自分がホームに立って、乗車する列車を待っているかのような臨場感がありますね。こちらももっと列車が遠くにあるカットのほうが、桜と菜の花がより目立ってよかったかもしれません。採銅所駅は存続する区間ですので、またこの風景を撮影できるというのが、とても嬉しいですね。あって当たり前の風景が、いつ見られなくなるかわからない今、こうして風景をひとつひとつ丁寧に撮っておくことが大切ですね。(中井 精也)
  • 「春の訪れ、県境の駅」
  • 豊増 隆博さん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • 桜とハナモモ、菜の花が一斉に咲く贅沢な駅として有名だった宝珠山駅。あらためてこうして眺めてみると、最高のシチュエーションですね。列車が写っていませんが、それはそれでいいのではないかと思います。どんな列車が来るのかな?という期待感や、写真を見る人の想像力を刺激してくれているように思います。タイトルを見るまで、この駅が県境に位置するということを知りませんでした。もう一度撮りたい。強く、そう思いました。(中井 精也)
  • 「秋桜を眺めながら」
  • 福森 和子さん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • 採銅所宮原にあるコスモス畑と日田彦山線のディーゼルカー。なんとも鮮やかな花の色彩に、うっとりと眺めてしまいます。電柱やガードレールなど、撮影には不向きな被写体が入っているにもかかわらず、あまり気にならないのは、基本となる構図がしっかりとしているから。ちゃんとした構図で主題である列車を目立たせれば、邪魔モノだって目立たなくなるという好例です。小春日和の心地よい風を受けて、散歩したくなる素敵な風景です。(中井 精也)
  • 「雪の日」
  • 古川 雅也さん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • まるで豪雪地帯で撮影したかのような、厳しい冬の風景。日田彦山線とは思えない光景です。列車もいいですが、横に立つ信号や、列車のライトに照らされた雪面が、旅情を誘います。鉄道の車両はとても強い被写体なので、列車が大きく写ることで雪景色よりも車両が目立ってしまっているのが少し残念。もちろんこのカットも素晴らしいのですが、もっと列車が奥にあるカットを選べば、さらに雪の風景が際立つと思います。(中井 精也)
  • 「赤と緑」
  • 久枝 皓雅さん
  • 選考者:日田彦山線活性化推進沿線自治体連絡会
  • こちらは日田彦山線が分岐する久大本線の夜明駅で捉えたカット。白いボディーに青いラインの、素朴な日田彦山線のディーゼルカーもいいですが、久大本線を走るキハ200系気動車の真っ赤なボディが、夏の緑に映えてキレイですね。横位置で撮りそうなシチュエーションでありながら、あえて縦位置にカメラを構えることで、山間に伸びていく線路の奥行き感が強調されています。カメラの構え方ひとつで、大きな変化が出せるお手本ですね。(中井 精也)

その他応募作品

今回惜しくも受賞を逃した作品については、次のリンクからご覧いただけます。

審査員の紹介

中井精也
プロ鉄道写真家 中井 精也(なかい せいや)さん

1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。株式会社フォート・ナカイ代表。

2015年、講談社出版文化賞・写真賞、日本写真協会賞新人賞受賞。著書・写真集に「デジタル一眼レフカメラと写真の教科書」「DREAM TRAIN」(インプレス・ジャパン)、「ゆる鉄」(クレオ)、「都電荒川線フォトさんぽ」(玄光社)などがある。

2018年5月、東京都荒川区に鉄道写真ギャラリー&ショップ「ゆる鉄画廊」をオープンした。甘党。

https://ameblo.jp/seiya-nakai/

TVレギュラー
中井精也のてつたび/NHK BSプレミアム
ヒルナンデス!沿線フォトさんぽ/日本テレビ
ひるまえほっと てくてく散歩/NHK総合
中井精也の「にっぽん鉄道写真の旅」/BS-TBS
カメラと旅する鉄道風景/CS各局

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