駅長インタビュー第1弾 採銅所駅 名誉駅長 南野幸一さん(その2)
各駅長にJR日田彦山線について語っていただくコーナー第1弾「採銅所駅名誉駅長 南野幸一さん(その2)をお伝えします。
その1では、採銅所駅についていろいろ教えていただきましたが、その2では採銅所駅周辺の名所を教えていただきました。
採銅所駅周辺には、いくつかの神社があります。
まずは現人神社(あらひとじんじゃ)です。この神社は、採銅所駅の北北西約800mほど行ったところに鎮座しています。御祭神は、都怒我阿羅斯等命(つぬがあらしとのみこと)、原田五郎義種尊(はらだごろうよしたねのみこと)です。
第二神の原田五郎義種(はらだごろうよしたね)は香春岳城の城主で、永禄4年に大友義鎮に攻められて討ち死にしました。
その後、周辺に疫病が流行した時に「今より阿羅斯等神の許に鎮まり猿を使いとして万民を救う」という神のお告げがあったため、現人大神と合祀されたそうです。
原田五郎義種と猿の縁により、「お申様(おさるさま)」とも呼ばれ、周辺の住民に親しまれている神社だそうです。
次は、古宮八幡神社(こみやはちまんじんじゃ)です。
採銅所駅のすぐ近くの小山に鎮座しています。御祭神は、豐比咩命(とよひめのみこと)、神功皇后、応神天皇です。
香春岳で産出される銅を宇佐八幡宮の御神体(銅鏡)として奉納していたご縁で、宇佐八幡宮の御祭神であった応神天皇、神功皇后を御神体としたことにより「八幡」を称しているとのことです。写真の長い石段を登ると本殿と拝殿があります。
次は、その宇佐神宮の御神体(銅鏡)を鋳造していた場所であるという「清祀殿」へ
説明書きには“清祀とは中国語で「清いまつりごとをする荘厳な家屋」という意味があり、この地こそ宇佐神宮に奉納した御神鏡鋳造の場所“とあります。
奈良時代に宇佐八幡宮のご神鏡を鋳造した場所がこの「清祀殿」跡だそうで、福岡県の文化財(史跡)に指定されています。
この「清祀殿」の裏手には、銅鉱石を採掘した坑道跡である「間歩(まぶ)」があります。
間歩から掘り出された銅の鉱石は、ここで精錬されて、御神鏡としてこの建物で鋳造されていたといわれています。
では、その坑道跡の「神間歩(かみまぶ)」へ行って見ます。
神間歩(かみまぶ)は、「清祀殿」の裏手の三の岳登山道の途中にあります。
ここは南野駅長も初めて来られたとのこと。案内板をたどっていくとわかると思います。
神間歩の奥壁には祭壇らしきものもあり、神間歩の上部にも銅を掘った間歩(坑口)が数箇所あるそうです。
なんだか神秘的な感じのする坑口でした。
神間歩から五徳峠方面へ歩くと、三の岳や牛斬山へ登ることができます。
ぜひハイキングコースを楽しんでみてください。→ハイキングコースマップへ
---採銅所駅付近にこんなにいろいろなものがあるとは知りませんでした。---
南野駅長
「私もそんなに詳しいわけではありませんが、まだまだ近くには史跡や歌碑があります。確か近くに古墳もありました。」
「また鉄道文化遺産もこの周辺にたくさんありますよ。有名なのは採銅所駅舎や金辺トンネルですが、橋梁についてご案内します。」
「これは高原三連橋です。真ん中は水路、両側は車道で今も生活道路として使用されています。」
南野駅長
「これはねじりまんぽの欅坂橋梁(けやきざかきょうりょう)です。」
「ねじりまんぽとは、煉瓦をねじって積んだアーチ構造のトンネルで、線路の路盤に対して斜交(斜めに交わっている)している道路や水路のためにアーチ橋を斜めに架けるための特殊な技法です。この技法は、日本への鉄道導入期に外国人技師らによって伝えられ、九州ではドイツ工法によるものがほとんどだそうです。」
現在国内に約30個所ある「ねじりまんぽ」の中で、欅坂橋梁は最大級のアーチをもつ。
・・・「北九州・筑豊の近代化遺産百選」(弦書房)より
南野駅長
「これは、60尺と呼ばれている第二金辺川橋梁(だいにきべがわきょうりょう)です。」
「金辺川(きべがわ)を跨ぐこの鉄橋は、川面から橋までの高さが60尺(約18m)あるので、通称“六○尺”と呼ばれています。」
「土台の石積みは47段あるそうですが、、、」
欅坂橋梁の隣に位置するこの”60尺”は、当初複線の計画で設計されたので、2線分の幅があります。
---今日は暑い中、いろいろとご案内いただきありがとうございました。---
南野駅長
「採銅所駅周辺は、湧き水も豊富でおいしいお米が獲れる田園風景が広がっています。季節になると、蛍もたくさん飛び交います。」
「きれいに並んだ棚田も見られ、こののどかな風景がずっと残ってくれたらと思っています。」
「私はひたひこウォーキングの助勢もしていますので、秋のひたひこウォーキングでぜひまたお会いしましょう!」
<編集後記>
南野名誉駅長は、地元香春町と採銅所駅をこよなく愛するやさしい駅長さんでした。
そして、鉄道関連の収集家としての一面も見せていただき、その熱心さに驚かされました。
まだまだレアな鉄道部品などもたくさんお持ちだそうです。
これからも駅舎を大切にし、いつまでも大正浪漫の香りと華やかな草花で包まれる採銅所駅であってほしいと思いました。
みなさんも、一度は訪れてみてはいかがですか?
- カテゴリ:駅長インタビュー
2011年8月1日