筑豊篠栗鉄道事業部 直方車両センターを視察
JR日田彦山線の車両を管理している“直方車両センター”の視察を行いました。
筑豊篠栗鉄道事業部 直方車両センター
筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センターの中川 晋(なかがわ すすむ)助役と当連絡会のオブザーバーとしていつもお世話になっている企画課の奥 昇治(おく しょうじ)運輸主任に今回特別に案内していただきました(一般の方の見学はできません)。
案内していただいた中川助役(左)と奥運輸主任(右)
JR日田彦山線の主力車両であるキハ147形気動車が整備されている様子を皆様にお伝えします。
(気動車とは、一般的に鉄道車両ではディーゼルエンジンを動力とする鉄道車両のことを言います。電気で動く「電車」に対して、「汽車」と言う人もいますね。)
---直方車両センターについて---
中川助役
「日田彦山線で走っている車両は、ここ直方車両センターで整備・点検作業を行っています。大きな検査、修繕、改造、製造などは、北九州市小倉北区にあるJR九州小倉総合車両センター(旧JR九州小倉工場から改称されました)で行われます。左奥に待機しているキハ31形気動車は改造が終わり、小倉総合車両センターから戻ってきたところです。右隣りの車両と比べて、違いがわかりますか?」
中川助役
「よく見ていただくと、前方にスカートを取り付けているのがわかりますか?排障器(はいしょうき)といって、線路上にある障害物を排除して、車体下にまきこんで運転に支障をきたすことのないようにするためのものです。最近、鹿などの獣が増え、車両にぶつかることが増えてきています。」
車でいうバンパーみたいで、車両のデザイン的にも格好良くなっているような感じがします。
---車輪(動輪)の交換作業---
建屋内を案内していただきました。
中川助役
「ちょうどタイミングよく日田彦山線を走るキハ147形気動車の車輪交換を行っているところです。リフティングジャッキで車体を持ち上げ、車輪を全てはずしています。」
よく見ると構内は、整備・点検しやすいようにダブルピットになっています。
中川助役
「車輪はレール上を走っていると、車のタイヤと同じように少しずつ傷が入り劣化がすすんできます。傷が多くなるとレールとの粘着力(車輪とレールの接触部分に働く力)が低下するので、定期的に機械で車輪を研磨・削正していきます。研磨回数が進むと、だんだん車輪が薄くなってきますから、ある程度の厚さになったところで安全確保の為、新品に交換します。」
新品の車輪(左)と比べると、厚さが3分の1程度まで削られているのがわかります。
---砂箱がある?!---
中川助役
「これは砂箱です。日田彦山線など山間の勾配がきつい区間を走る車両は、車輪が空転して牽引力を失ってしまうのを防ぐために、砂を車輪とレールの間に撒き、駆動輪とレールの摩擦力をアップさせるようにしています。」
昔の蒸気機関車も同じようにレールに砂を撒いていましたね。その理由がわかりました。
---キハ147形気動車のエンジン---
中川助役
「従来のキハ47形のエンジンが約300馬力であったのに対して、このキハ147形の改造エンジンは直列6気筒で約450馬力に出力を向上させています。この改造エンジンに取りかえたことで、スピードアップと急勾配での安定走行が可能となりました。」
---キハ147形とキハ47形が仲良く並んでいました!---
中川助役
「これは小倉総合車両センターから戻ってきたばかりのキハ147形気動車です。小倉総合車両センターから戻ってくるときは、洗車されてきますので真っ白でピカピカに仕上がっています。」
事務局員
「いつもはクリーム色のような車体が、実はこんなに真っ白だったのですね!」
隣りに停車しているのはキハ47形気動車でした。やはり車体は同じですね!
<編集後記>
今回訪れた直方車両センターでは、ごく一部ではありますが、日田彦山線の車両が安全に運行されるための高度な技術がたくさん採用されている車両とその整備状況を見ることができ、みなさんへお伝えすることができました。
日田彦山線の安全運行を影で支えていただいている多くの技術作業員の方々の勇姿とその大事な役割を少しはお伝えできたでしょうか?
また機会がありましたら、今度は車両内のさまざまな機能等をできる範囲でお伝えしたいと思います。
雪が舞い散るとても寒い日ではありましたが、快く取材対応していただきました中川助役様と奥主任様、どうもお世話になりました。
並びにJR九州筑豊篠栗鉄道事業部の社員の皆様、ご協力ありがとうございました!
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2012年3月14日